今回は『本音と建前』についてお話ししたいと思います。

皆さんは『本音』と『建前』を上手く使い分けられていますか?
ここ数年では、価値観の多様化が進み、様々な意見が受け入れられる社会へと変化しつつあります。
ですが、社会人になれば、本音だけではなかなか通用しない現実もあります。
自分とは異なる意見や考えを持つ人との関係性をよくするためにも、相手が受け入れやすい建前が必要だと言えます。

では『本音と建前』の意味から見ていきましょう。
『本音と建前』とは、何かしらに対する人の感情と態度の違いを示す言葉とされています。
『本音』は、何かしらの事柄に対して、意識に内在する感情や欲求を含む価値観に照らして心に抱かれるものであり、自由な心の働きによって形作られる「嘘偽りのない本当の気持ち、本当の意思・意向」のことです。本心とも言い換えられますね。

一方『建前』は、嘘偽りのない本当の気持ちを表す本音の対義語であり、本心を隠して「表向きの意見・考え」を伝えることを意味します。
本音は、他者から求められるものとは食い違ったり、本当は口にしない方が良いようなネガティブな感情なども含まれることがありますので、表に出すことで批判を受けたり、あるいは場の雰囲気を悪くしたり、不用意に相手を傷つけたりしてしまう可能性もあります。
そこで表現を穏やかにしたり、あからさまに批判を受けそうな箇所を隠したりといった外部向けに表現を制限する。その結果として表に現れるのが建前です。

『本音と建前』は、日本的価値観に固有していることで、しばしば日本人論上で使われることから、英語を始めとする諸言語でも、『Honne and Tatemae』と表現されることがあるほど、日本人であればほとんどが『建前』の考え方を内在的に秘めています。

その建前表現方法の一つには皆さんが自然に使っているもので、特に日本人らしいと言われる意外なものがあります。

それは、『愛想笑い』です。
愛想笑いは、別名でアルカイク・スマイル(元は古代ギリシアのアルカイク美術の彫像に見られる表情) と呼ばれており、日本人特有の「曖昧な微笑」とされております。
相手の機嫌を取るためや、お客様に対してのもてなしや心遣いにも使われますが、ここでは特にトラブルシーンなどで使われる微笑みを指しています。
内心では相手に対して反感や怒りを感じていたとしても崩されることはなく、そうとは知らず怒りを与えた側が、相手がこの微笑みをするので許してもらえていると誤解して、後で軋轢を引き起こすこともあり、本心を上手く隠した建前表現とされています。

つまり、建前とは言葉だけの表現だけではなく、表情や行動などの表現でも相手に伝えることができるということですね。

最後に使用シーンを見ていきましょう。
ビジネスシーンにおいては、双方が本音で考えや思いを伝えると、意見が対立しトラブルが大きくなる場合や、お客様次第では契約などが破棄になってしまう可能性もあります。
たとえ難しい提案であっても、その場ですぐに断ることは相手にとって失礼にあたる、相手を否定しているような風に捉えられてしまう場合もあります。
そういう時は自分の気持ちを抑え、「上長に確認します」「一度、社持ち帰って検討します」などの建前を使って、その場のボルテージを落ち着けるような伝え方があると良いかもしれません。

他には、上司から飲み会や休日に誘われた時、理由もないが断りたいときはありますよね。
正直に「嫌です」「行きたくありません」など、気持ちをはっきりと伝えてしまうことで、相手が嫌な気持ちになってしまったり、その場の雰囲気が悪くなったりしてしまいます。
その場しのぎかもしれませんが、「~~予定が入っているのでその日は難しいです」などと建前を使えば、相手の気持ちを尊重しながら断ることができます。

たとえ建前だとしても相手の気持ちを尊重しながら、言い回しや表現を選択していくことが、良好な人間関係を築くための大事なコミュニケーション能力と言えます。
そしてその際には、言葉以外の表現にも気を使えると尚よいでしょう。